院長の部屋 36号 晩夏雑感
朝夕の風がひんやりとしてきました。今年は梅雨が長かったせいか、とても短い夏だったように感じます。あせもやとびひのなどの夏の皮膚病で来院される患者さんもグッと減り、「カサカサしてきた」と訴えて訪れる患者さんが増えてきました。毎年のように皮膚科医が診療を通じて感じる季節感です。
さて少し前に兵庫医大皮膚科の夏秋優先生による「虫による皮膚病」という講演を聴いてきました。その中から少しだけお話をしましょう。
(1)ハチの話:
ハチの毒針はメスの産卵管のため、人を刺すのはメスだけ。人の世界もハチの世界も女は怖い。ハチの中でもミツバチだけは人を刺すと自分も死んでしまうので、命がけで人を刺してくる。ホバリングしているクマバチはメスを探しているオスなので人を刺さない。ハチは黒いものを狙ってくる。白いものを着ていると刺されにくい。香水やヘヤトニックを使っている人に寄って来る。
(2)トコジラミ(ナンキンムシ)の話:
昼間は壁や柱の割れ目、ベッドやイスのつなぎ目などの狭い場所に潜んでいて、夜になると出てきて寝ている人を刺す。刺された時はチクリともしない。初めてトコジラミに刺された人はすぐには症状が出ず、1~2週間してから虫刺されの症状がでることがあるため虫刺されと気づかない人もいる。高級旅館にもトコジラミがいる可能性がある。
まだまだ、虫にまつわる話を沢山聴いてきましたがスペースの都合上、今回はこれくらいにしておきます。虫による皮膚病って、とても奥が深いのです。
話かわって、以前にもこのコーナーで書き綴ったことがありますが、最近あいさつのできない大人があまりにも多くなったことに半ば諦めの境地に陥ってしまいました。そう感じたのはまた今回も集団予防接種会場においてでした。100名近い子供たちに三種混合の予防接種を行なったのですが、何も言わずに接種を受け、何もいわずに去ってゆく親の多さに、またもや強く落胆したのです。我々も仕事なので感謝して欲しいなどと思っているわけではないけれど、人間同士の接する場なので「お願いします」とか「ありがとうございました」「お世話さまでした」など、コミュニケーションのひとつとして、あいさつの一言くらい言うのが普通と思っている私がおかしいの??
接種するこちらが「どうぞ」とか「お大事に」「がんばったね」と声をかけているのに、何も言わずに来て何も言わずに去ってゆくとは何事ぞ! 怒っても仕方ないけれど、親がこんなじゃ子供の将来は見えてしまいますよね。あいさつから始めよう日本再生!!日本あいさつ党でも結党しようかなー。と言うことで、気持ちのよいあいさつのできる社会人になれるよう我が身を振り返っております。
さあ、政権交代も実現し、期待半分、不安半分の日本社会。民主党の舵取りに期待しつつも、国や自治体が何かしてくれるのを待つのではなく、自分が社会に何をできるか考えたいと思います。そしてほんの少しでも社会に役立てる人間になりたいと思う昨今です。
平成21年9月12日 院 長