院長の部屋 38号 23年の時を超えて
山々の木々も色づいて、人も自然も冬支度に入りました。皆様はいかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
さて10月下旬に蒲郡市医師会が毎月開催している学術懇談会という講演会に東京大学大学院医学研究科 公共健康医学専攻社会予防疫学分野 教授 佐々木敏先生をお迎えし「世界のたべもの・世界の病気~栄養疫学者、世界を巡る」という講演をしていただく機会を得ました。実は今年度から私が医師会の学術担当となり、この講演会の企画を担当しているのですが、佐々木先生には是非一度蒲郡にお出でいただきたいと思い、その願いがかなったわけです。
佐々木さんとは23年前、タイ・バンコックの空港で偶然出会いました。お互い、バッグパック(リュックサック)を背負った学生で、吸い寄せられるように私は佐々木さんに声をかけていったような記憶があります。空港からバンコク市街へご一緒させていただきながら、今回の旅の目的が似ていることや、お互いに医学生であったことなどから意気投合し、約1週間ほど旅程を共にさせていただいたのです。
私達はタイ北部の古都チェンマイを目指し、チェンマイで現地ガイドを一人雇って、佐々木さんと私とガイドの3人でゴールデントライアングルと呼ばれるタイ・ラオス・ミャンマーの国境地帯を自動車・ボート・象・徒歩で3泊4日かけてカレン族、ヤオ族、ラフー族、アカ族などの少数民族の部落を渡り歩き、少数民族の家(小屋)に泊めてもらいながら旅をしました。この時、既に海外経験豊富な佐々木さんから「旅の心得」から「世界の民族」の話など次から次へと興味深い様々なジャンルの話を聞くことができ、すばらしい人に出会うことができたことにとても感激しました。
そしてその後、国内で数回お会いする機会があり、会うたびに佐々木さんからは多くの知識と元気をもらってきました。そして2年前に久しぶりに連絡が取れると、佐々木さんは栄養疫学という分野のエキスパートとして東京大学医学部の教授にご就任されていらっしゃいました。
東大教授に片田舎の蒲郡それも少人数の講演会にきていただけるのかと思いましたが、佐々木先生からはご快諾いただき、1時間少々の講演会を盛況のうちに終えることができ、企画した私としてはホッとしたのと、久しぶりに佐々木先生の昔と変わらぬバイタリティあふれた姿をお見受けすることができとてもうれしく思いました。
後日、佐々木先生から頂いたメールには、「とてもひさしぶりに元気な姿を拝見し、なつかしさとともに、『旅を楽しんできた姿勢=人生を楽しむ姿勢』ではないかと改めて考えました。」と23年の時空を超えてお互いが歩んできた道のりを振り返る言葉をいただいて、これからも健康で人生を楽しむことができたらと心新たにしたところです。今回、佐々木先生の講演や雑談の中からお聴きした栄養と病気の話で皆さんにお伝えしたいことが沢山ありますが、紙面の都合でまたの機会にいたします。
さあ、年末にむけて、そろそろ忘年会の誘いなども入ってくる頃と思います。飲みすぎず、食べ過ぎず体調整えてインフルエンザを吹っ飛ばして有意義な秋をすごしたいものです。
平成21年11月6日 院 長