院長の部屋 41号 日本がもし100人の村だったら
2010年も1ヶ月が過ぎ、2月に入りました。長引く不況、JALの破綻や政治献金問題でゆれる民主党、暗いニュースが多い昨今ですが、NHKの「竜馬伝」を見ては竜馬のような、国のことを考える元気な若者が育つ社会になってほしいなと願う毎日です。
さて「世界がもし100人の村だったら」シリーズの日本版「日本がもし100人の村だったら」(池上彰 マガジンハウス)という本が出版されました。この本は日本の現状をとてもイメージしやすく書かれており、自分の生活や周囲を振り返った時に、とてもよい情報源となります。この本の中から医療・教育・家族関連を中心に抜粋してみました。ご参考にどうぞ。
いま日本には1億2780万人の人が住んでいます。2050年には1億人を切り、2100年には6400万人になります。いまの日本を100人の村に縮めるとどうなるでしょう。100人のうち64人は大人、13人は子ども、23人はお年寄りです。そのうち75歳以上の人は11人です。2050年には子どもは9人に減りお年寄りは38人に増えます。働く現役世代が高齢者を支える割合は現在、2.8人に1人ですが、2050年には1.2人で1人を支えることになります。
小学生100人のうち99.5人は中学へ行きます。世界一の就学率です。高校生100人のうち44人はほとんど勉強をしません。高校生100人のうち51人が大学に行きます。
日本の世帯が100世帯だったら31世帯はひとりでくらしています。28世帯は夫婦と子ども、20世帯は夫婦だけ、9世帯はひとり親と子ども、のこりは3世代などで暮らしています。
若い人(18~34歳)100人のうち82人は結婚していません。いずれ結婚するつもりの人は89人です。未婚の人100人のうち73人は親と同居しています。年に結婚する人を100人とすると、離婚する人は34人です。
働いている若い人100人のうち46人は非正社員です。若い人100人のうち9人は決まった仕事につきません。3人は働くつもりがありません。
この国は税金が少ない国です。国民所得のうち税金は日本が23%、アメリカ26%、フランス38%、デンマーク68%です。国民所得のうち医療や介護や雇用や福祉に使うお金は日本が15%、ドイツは24%、フランスは25%です。社会保障は個人が負担するものと考えるアメリカでは9%です。
100人のうち医師は0.2%です。先進国の平均は0.35人です。60年前、亡くなる人を100人とすると85人は自宅でなくなりました。いまは85人が病院で亡くなります。自宅で最期を迎えたい人は59人です。赤ちゃんを100人とすると80年前は10人が亡くなりました。いまは0.3人です。
この村の食べものの59%は外国の水を使って作られます。そのために使われる外国の水は1人1日あたり1460リットル、お風呂の水8杯分です。100人のうち農業をしている人は2人ですが、1.5人は65歳以上です。穀物の自給率は28%です。人口1億人以上の国では最下位です。
(日本がもし100人の村だったら 池上彰 著 マガジンハウス より)
いかがでしょうか。日本の現状と問題点がこれらの数字から垣間見ることができたのではないでしょうか。この度、私の親友の皮膚科医が与党衆議院議員の医療・福祉政策担当秘書になりました。是非、彼には現場の声を政策に反映してもらえるようお願いしたいところです。そして地域医療にどっぷりつかる私は、今日も日常診療に全力投球!!
平成22年2月2日 院 長