あの日のワンショット「(4)スコットランド」
大学2年の夏休み、ヨーロッパ50日間の一人旅。
シンガポール経由でロンドンに入り、ロンドンとその近郊、そしてバース、湖水地方を旅した後、スコットランドへ向かった。エジンバラに向かう予定で列車に乗ったが、自分の予想と異なる駅で列車は止まった。
駅舎をでるとそこはかなりの田舎で、駅前にはバスが待っている。旅人が皆、そのバスに乗るので、なんとかなるさと思って行き先もはっきり知らぬままバスに乗り込んだ。そのバスはひたすらどこまでも走り続ける。スコットランドの寒々しい荒地をひたすら私の知らないどこかに向かって走る。なんと、そのバスはフェリーにのって島に渡る。島に渡るとまたひたすら走る。ミステリーツアーで目的地を知らされずに旅程を進める旅のようであり、半分楽しく、半分不安に満ちていた。
たどりついたのはスコットランドの果て、北西に浮かぶスカイ島という島の中心地だった。中心地といっても静かな漁師町だった。
ツーリストインフォメーションでその日の宿をとった。Bed&Breakfast(B&B)といって日本の民宿のようなところで、一般の民家に泊めてもらうような感じだった。スコットランドのおじいさんとおばあさんが自宅に泊めてくれたといったほうがよいだろうか。
夕食は出ないので、町中を歩いてレストランを探したけれども、閉まっているのか見当たらない。惣菜屋でFish&Tips(魚のから揚げとポテトフライ)をなんとか手に入れて、その日の空腹を満たした。スコットランドの果てで食べた、あのFish &Tipsの味は今でも忘れられない。
北の果ての7月は白夜に近く、夜12時近くになっても外は明るかった。行き当たりばったりでたどり着いたスカイ島。スカイ島の海の景色、とってもきれいだったなー。思い出深き、旅の一コマとなった。