あの日のワンショット「(6)タイ ゴールデントライアングル」
大学3年から4年になる春休みにタイ・ラオス・ミャンマー国境地帯のゴールデントライアングルと言われる地域を旅した時の記録である。一人旅であったが、タイ・バンコックに着いた時、空港で出会った日本人医学生のSさんと意気投合し、しばらく行動を共にすることになった。
タイ北部の町チェンマイでツアーガイドを雇い、タイ北部の山岳地帯を自動車・ボート・象・徒歩で巡る3泊4日の旅をした。1泊目はカレン族の民家で宿泊し、ご主人さんが作った密造酒を振舞っていただいた。2泊目はアカ族の民家(写真の家)で宿泊したが、高床式の風通しのよい住まいだった。とは言っても、日本人からたらどう見ても「掘っ立て小屋」ではあったが。
2日目、3日目は主に徒歩で山岳部を歩くことになったが、暑さと疲労で結構大変な旅だった。少数民族の村々を渡り歩きながら、少数民族の生活を垣間見ることを目的とした旅で、体力と好奇心のあったあの頃の自分のなせる業であったように思う。
昼にはシャワー代わりに滝ツボで水浴びをしたり、トイレのない部落では部落のはずれの草むらで用足しをしたりと、原始的な生活をして過ごした。
この旅を共にしていただいたSさんからは旅や食べ物に関する多くのことを教えて頂き、彼との出会いも大きな財産となった。その後もSさんとは折にふれお付き合いいただいているが、そのSさん現在はT大学医学部教授として栄養疫学の権威として活躍されている。
ゴールデントライアングルの旅から23年、焼畑農業の煙の中を象の背に揺られて旅をした、あのワンショットは今でも思い出深い。