あの日のワンショット「(7)中国 雲南省」
大学4年の夏休み50日間におよぶ中国への一人旅でのワンショットです。
大阪から鑑真号という船で3泊4日かけ(本来は2泊3日のはずが、台風のため和歌山沖で丸1日停泊)遣唐使気取りで上海に上陸し、蘇州、杭州、北京、大同、フフホト、西安、西寧、昆明、桂林、広州、香港と列車、バス、船、飛行機を乗り継いで中国を巡る旅の後半にさしかかった頃です。
ヨレヨレのズボンをはいて、髪の毛はボサボサ、不精ヒゲはやして、「生きている」と実感しながら、好奇心のおもむくまま一歩一歩旅程を進めていました。
毎日、新鮮な感動を感じながら、その日の宿の確保と次の目的地へのチケットの手配、そして今日は何を食べようかという、いたってシンプルな行動を基本に、少しでも自分の知らない世界を見てみたいという気持ちが、雲南省のかなり奥地にあたる大理という町からまた奥に入った村の青空市場まで私をいざないました。
この日の昼食は市場の屋台で生の豚肉に香草を混ぜてタタキにした料理とパサパサのご飯を食べました。よく覚えているでしょう! だってその後、生の豚肉なんて一度も食べてないですから。なんとなく寄生虫が入ってそうな料理でしたが、好奇心のなせるワザでしょうか。味は結構イケましたよ。
少数民族の人たちが行きかう中、何を買うわけでもなくブラブラする日本人学生を、当地の人たちはいったいどのように見ていたのでしょうか。
中国少数民族の生活をほんの少しだけ垣間見て、大理とその近郊で過ごした数日は、そこにいるだけで、ホッとする、とても穏やかな時間が流れていました。
桃源郷という言葉の似合う中国最奥地での懐かしい思い出です。