あの日のワンショット「(12)オマーン ニズア」
平成7年秋、外務省の派遣で国際医療団の一員として中東5カ国を3週間かけてまわった。バーレーン、カタール、サウジアラビア、オマーン、クエートの5カ国に在住する日本人の健康相談と診療を行うプロジェクトである。
サッカーでカタールのドーハとか、オマーンのマスカットという地名を聞いたことがあるだろうか?
中東へ出かける前は石油と砂漠のイメージしかなかった国々なのだが、あちらへ行って中東の雰囲気を肌で感じて帰ってきた。
とくにオマーンのマスカットという街はとても美しい街だった。シンドバッドはこの街で生まれたとか。夜のイルミネーションに飾られた海岸通りは、それはそれはウットリする風景だった。
私たちが泊まったアルブスタンパレスホテルというホテルは迎賓館としても使われる高級ホテルで宮殿のような豪華さで、私にとっては異次元の世界に舞い込んでしまったようであった。
そして、マスカットから数時間かけてニズアという古い街へ大使館の駐在員の方に連れて行っていただく機会を得た。
写真がニズアのお城で撮ったワンショットである。そこには静かにゆっくりとした時間が流れ、いや時間が止まってしまったかのような、そんな街だった。
ニズアの街並みを思い出す時、あの時の穏やかな時間の流れまでも思い起こされる。