あの日のワンショット「(23)スイス サンモリッツ」
大学2年生の夏休み50日におよぶヨーロッパ一人旅の半ば、スイスに立ち寄った。
マッターホーンを仰ぐツェルマット、アイガー・ユングフラウを仰ぐグリンデルワルトとスイスの有名な観光地を周った後だったので、ここサンモリッツはとても穏やかな静かな街並みだった印象が残っている。日本人観光客もサンモリッツまではあまり訪れないようで、ツェルマットやグリンデルワルトのような賑わいは感じられなかったが、汚い格好をした貧乏旅行の私にとって、有名観光地では「同じ日本人なのに、あんな汚い格好してあの人なに~」といった、やや軽蔑しているような目で日本人観光客に見られることがしばしばあったが、ここではそんな同胞の目から逃れることができたし、治安もよく穏やかに過ごすことができた。
サンモリッツはサンモリッツ湖畔に街並みを有しており、夏はハイキング、冬はウィンタースポーツで活気をおびる人口5000人の街で、冬季オリンピックが過去2回開催されている。
私の宿泊したユースホステルは近代的なこざっぱりした建物だったことは記憶しているが、それ以外のサンモリッツでの思い出は写真にある「ハイジの小屋」を見てから森の中を散策したこと、サンモリッツ湖畔を散策したことくらいで、この街で何を食べてどう過ごしたのか、記憶からとんでしまっている。
不思議なことに、サンモリッツへの途中で乗り換えのために下車した「クール」という駅のホームで小一時間佇んでいた時の光景は今でも鮮明に残っているのに、人の記憶とは不思議なものである。
ヨハンナ・シュピリの「アルプスの少女ハイジ」の舞台とされているマイエンフェルト(イェニンス村)に復元されている「ハイジの小屋」が有名だが、サンモリッツの「ハイジ小屋」も風情があった。ハイジの小屋を見た後で一人で森の中をハイキングをした。ペーターが「おーい、ハイジ~」と言ってどこからか出てきそうなハイキングコースで、幼い頃にテレビアニメで見た「アルプスの少女ハイジ」を思い出しながら散策を楽しんだ。