あの日のワンショット「(38) 中国 内蒙古」
昭和62年8月 中国 内蒙古自治区
フフホト郊外の遊牧民居住区にて
大学4年の夏、50日間に及ぶ中国への一人旅に出た。大阪港から鑑真号という船で出発し旅は始まったのだが、台風の影響で和歌山沖に1泊停泊するというハプニングにいきなり遭遇し、以後様々な困難を乗り越えることになった。
旅程の中頃、中国北部、モンゴルと国境を接する内蒙古自治区の中心都市フフホトから遊牧民のパオに泊まる1泊のミニツアーに参加した。中国領とはいえ、私の想像するモンゴルのイメージどおり、一面の草原と青い空、羊と馬がのんびり行き交う光景がそこにあった。
モンゴル相撲を草原で楽しんだり、馬に乗せてもらったり、地元民の住むお宅へお茶を頂きに訪ねたり、羊肉の塩茹でや馬乳酒などはじめて口にするものに一種の感動を覚え、内蒙古での1泊2日を楽しく過ごした。
そして、このすぐ後に私の旅の経験の中で最大の事件、「蘭州駅 バックパック盗難事件」に遭うことになった。