あの日のワンショット「(39) エジプト ルクソール」
昭和64年8月 エジプト ルクソール ハトシェプスト葬祭殿
メムノンの巨像
大学5年生の夏。シベリアを横断し、東ヨーロッパを南下、ギリシャ、トルコ、イスラエルと旅程を進めついにエジプトにたどり着いた。
イスラエルから乗り合いバスに乗って国境を越え、スエズ運河を渡りエジプトの首都カイロに着いたのはかなり夜遅く、その日の宿が見つかるか本当に心細かったが、なんとか安宿にもぐりこむことができた。
カイロではギザのピラミッド観光や、ツタンカーメンの眠る博物館などを見学し、エジプト名物の鳩料理を食べたり、本物のパピルスを求めてヒルトンホテル内の専門店へお土産を買いに出かけたりして、数日があっという間に過ぎてしまった。
王家の谷で知られるルクソールへも行きたかったので、少し贅沢して飛行機でルクソールへ向かった。ルクソールではボロボロのレンタサイクルを借りて観光地を観て周った。灼熱の大地を自転車で周るのは少々疲れたが、気ままに好きなところへ好きな時間にでかけることができたので、バックパッカーの私にはうってつけだった。
ルクソールには写真にあるようにハトシェプスト葬祭殿やメムノンの巨像をはじめ多くの史跡・遺跡が点在していた。歴史をもっと勉強してゆけば、もっともっと感動したであろうが、知識不足の私にも強烈な印象を残す街であった。
ハトシェプスト葬祭殿では私が訪れた数年後に、まさにこの写真の場所でテロによって多くの観光客が射殺によって亡くなるという悲しい事件が起きた。
ルクソールで泊まった安宿にはエアコンが完備されておらず、その暑さたるや我慢の域を超えていたため、部屋の床に水をまいて暑さをしのぐという荒業を使ったのも懐かしい思い出として心に残っている。