あの日のワンショット「(5)サウジアラビア」
平成7年秋、約3週間の日程でバーレーン、カタール、オマーン、サウジアラビア、クェートの5カ国を外務省の派遣で巡回診療をする任務につきました。各国に在住する日本人の健康不安や疾病の相談と簡単な診療をして巡回してゆく任務です。
当時所属していた鹿児島大学医学部から内科医、産婦人科医、そして私の3人がグループを組んでこの5カ国をまわりました。写真に写っているのは在サウジアラビア日本大使館を訪問した際のものです。左が鹿児島大の内科医、真ん中が日本大使館の中村医務官、右が私です。
大使館に招かれ丹波大使ご夫妻と中村医務官、そして我々医師3人による昼食会が催されました。サウジアラビアは日本にとって重要な拠点のようで、大使館も大きくて立派な建物でした。当時の丹波大使はロシア通の大物大使だそうで、その後外務省の審議官までなられた方です。大使公邸専属シェフによる料理を頂きながら、丹波大使から外交を始めとした、様々なお話をお聞きました。一流外交官の仕事の一端にふれるとても貴重な経験でした。
サウジアラビアは観光ビザがおりないので、公用や仕事でないと簡単に踏み入れることのできない国です。きままな一人旅のように街をぶらぶらすることはできませんでしたが、仕事が終わってからあちらこちらへ連れていっていただき、少しはサウジアラビアの首都リヤドの街の匂いや人の営みを感じることができました。
私にとっては、不思議なことが沢山ある国でしたが、サウジアラビアがこんな国なんだと肌で感じることができ、新聞やテレビで触れる中近東のニュースが今でもとても身近に感じられます。