あの日のワンショット「(9)トルコ イスタンブール 鯖サンド」
大学5年生の夏。ギリシャからバスにて陸路でトルコ入りした。イスタンブールからトルコの旅は始まった。
イスタンブールは東洋と西洋という、東西文化の通過点であり歴史的にも重要な都市である。上の写真はアジアとヨーロッパを分け隔てるボスポラス海峡でこの海峡にかかるガラタ橋という有名な橋のたもとでのワンショット。
ガラタ橋はイスタンブールの旧市街と新市街をつなぐイスタンブールの大動脈でもある。写真に写っている船では鯖を油で揚げた鯖をフランスパンに挟んだイスタンブール名物の「鯖サンド」を売っている。ボスポラス海峡を望みアジアからヨーロッパを眺めながら食べる鯖サンドは、オランダ・デンハーグの生ニシンサンド、中国・大理での豚生肉とネギのタタキとならんで私の放浪の旅における露店B級グルメ体験の中でも最も思い出深い一品である。
イスタンブールでは日本人旅行者の溜まり場となっているモラホテルという安宿に泊まった。私が泊まった部屋は一人旅やイスタンブールにバイトしながら滞在している日本の若者数人の相部屋だった。同室の旅人からはイスタンブールの観光情報のみならずアジアやヨーロッパの旅の情報などで盛り上がった。ここはまさにアジアからヨーロッパへ行く者と、ヨーロッパからアジアへ行く者の交差点だった。
旧市街にある狭い路地が複雑に入り組んだ迷宮のような4000軒以上の店が並ぶグランドバザールをさ迷い歩いたのも日本では経験できない楽しい時間だった